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対談企画  「賃貸管理の原点“共同の利益”、および入居者の権利と それに伴う“善良な管理者としての義務”」について語る

(株)ルミナスでは、賃貸物件の定期清掃やお部屋の原状回復などを通して、大家さんと長く寄り添ってきました。その過程で、賃貸管理というものは“共同の利益”を共有するための仕組みづくりであるとともに、入居者の“善良な管理者としての義務”である、という考えにいたり、「大家さんと入居者双方が理解し共有することが大切」だと思うようになりました。
この考え方を基にこれまでさまざまなトラブルと向き合ってきましたが、近年増えている大家さんと入居者とのトラブルを鑑み、今回は法律の専門家をお招きし、その問題解決の方法を探っていきたいと思います。

注)入居者の“善良な管理者としての義務”…賃借人は借りた部屋を善良なる管理者の注意を持って使用する義務を負う。

ゲスト 弁護士 正田光孝氏  みらい総合法律事務所所属。さまざまな法的案件を担当する中で、近年は物件の明渡しや賃料不払い、原状回復をめぐるトラブル等賃貸物件関連の相談、案件を多く取り扱っている。

最近気になっていること

島村:正田弁護士、本日はよろしくお願いします。率直にお伺いしたいのですが、大家さんと入居者の関係を長く見てきて、何かすっきりしないことが多いんです。トラブルを避けるために過剰に弱気になったり、逆にあまりにも強気で、こちらがハラハラしたりすることもあります。

正田弁護士(以下、正田):島村さんのおっしゃるとおりです。例えば国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(以下、ガイドライン)ができてから、入居者が大家さんより立場が強いと勘違いしている入居者が多い気がします。その背景には、インターネットの普及もあり、入居者がさまざまな情報を得て、知識が豊富になっていることが要因として挙げられます。大家さんはそんな入居者とのトラブルを避けるために、何も言わずに弱腰になっているという構図ができあがってしまっています。

島村:私が賃貸物件の清掃管理の仕事に20年以上従事している中で大家さんから相談を受けることが多く、最近特に、管理代行の仕事、つまり管理者である大家さんや管理会社さんがやらなければいけないことに関しての相談が増えています。私は、大家さんや管理会社さんが持つべきだと思っている〝管理者〟としての考え方には2つ重要なことがあると思っています。

正田:それはどういう考え方ですか?

島村:1つは“共同の利益”という考え方。もう1つは入居者の “善良な管理者としての義務”という考え方です。

正田:その2つの考え方に至ったきっかけは何かあったのですか?

島村:清掃管理をする上で、大家さんが要求している清掃はどういうものか、また清掃によってアパートはどう変わるのか、ということを突き詰めていく中で、弊社独自の「6点項目(※)」が確立したのですが、賃貸物件の共用部分の使い方についての点検とその対応、また具体的なルールづくりと運用という一連の管理業務を行って行く中で、先ほどの2つの考え方に至った次第です。

正田:なるほど、島村さんが清掃管理を突き詰めていく中でたどり着いた考え方なのですね。それが御社のパンフレットに書いてある施設運営管理に基づく業務ということになるのですね。

島村:そうです。私は、大家さんと入居者が正しい倫理観を共有することが、共同住宅で快適な生活を送るための礎になると考えています。ここから先は、実際に起きた事例を基に“共同の利益”と“善良な管理者としての義務”という考え方の有効性についてお話しできればと思います。

※「6点項目」:(株)ルミナス独自で定めた6つの点検項目。1.共用灯が全て点灯すること。2.ゴミ置場のゴミが分別・整理されていること。3.自転車が所定の位置に綺麗に並んでいること。4.集合ポストのチラシが回収されていること。5.粗大ごみや投棄ゴミがないこと。6.共用部分に私物等が出ていないことをいう。

事例1 戸建賃貸の草刈り

島村:1階と2階に別々の賃貸入居者が住んでいた物件を、前の大家さんから管理会社A社が購入し、管理することになりました。あるとき、1階の入居者が玄関先の植栽の除草を、当然やるべきだというような強い口調でA社にいってきたのです。
もともとこの物件を所有していた大家さんが、そうした入居者からの要求に逐一応えていたのでしょう。その対処に困ったA社から私にどうすればいいかと相談があり、現地を確認しに行ってみたところ、植栽が生い茂っていました。
その意味では入居者のいうとおりで、実際その生い茂った植栽は共用部分にありましたが、私は賃借人として住むならば、その植栽部分の除草は賃借人に求められる当然の管理範囲内であると判断しました。その旨を入居者にきちんと説明し、納得してもらいました。

正田:契約書ではどうなっていたんでしょうか。もし、契約書の特約として、部屋の玄関先にある植栽の管理をA社の責任とするという記載があれば話は違ってきます。

島村:私もその点が気になって、事前に契約書を取り寄せて確認しました。その記載はなかったので、本来のかたちに戻すべく交渉に当たった次第です。

正田:島村さんの判断は、正しかったと思います。この問題のポイントは、入居者の善管注意義務の範囲がどこまで及ぶかという点だと思います。

島村:そうですね。

正田:植栽については、原状回復の場面ではありますが、ガイドラインで「戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草」は賃借人すなわち入居者の負担とされており、裁判例でも賃借人の善管注意義務の対象とされているものがあります。そのため、この事例でも植栽は入居者が管理すべき範囲に含まれるとされる可能性があります。

島村:今回のケースでは、前の大家さんが入居者からの要求に逐一応えていたようですが、このような場合、新しい大家さんや管理会社は、その取り扱いを引き継がなければならないのでしょうか。

正田:賃貸借契約等でどのように定められているか、明文で定められていない場合はどのように解釈されるかが重要で、必ず引き継がなければならないというわけではありません。ただ、前の大家さんが入居者の要求に必ず応じており、そのような状態が長期間続いていると、大家さんと入居者の間でそのような取り扱いとするという暗黙の合意が成立していると判断される可能性もあります。しかし、これは入居者側が主張することであり、大家さんとしては契約書に記載されている文言に従って毅然とした対応をとるべきだと思います。

島村:確かにそうですね。今のお話しを聞いて、契約書を見直すことの重要性をとても感じました。

事例2 賃貸アパートの廊下にされた猫の糞についての対応

島村:もう一つ、猫の糞尿に関する事例があります。あるアパートの1階に住む入居者から、管理会社のコールセンターに連絡がありました。内容は、頻繁に玄関先に猫の糞尿があり汚いので、清掃に来てほしいということでした。

正田:なるほど。

島村:弊社がその物件の清掃管理を担当していたので、その入居者に対して、「猫の糞尿の件で清掃すると有料になる」と連絡を入れ、入居者の方に片づけをしてもらいました。そこでは一応納得していただいたのですが、その後も入居者から何回もコールセンターに連絡が入ることとなったので、私は、「玄関前は入居者の管理範囲内であって、自分で清掃をすべきだ」ということを改めてはっきりと伝えました。

正田:そのとおりですね。あくまでも入居者が賃借しているのは室内で、廊下は共用部分ですが、共用部分だからこそ、その管理義務は一定程度入居者が負うものと考えられます。島村さんの言われるところの“共同の利益”に基づく義務とも言えます。

島村:なるほど。

正田:先ほどの植栽の事例もそうですが、最初から入居者のいうことにすべて従うのではなく、入居者の“善良な管理者としての義務”、“共同の利益を受けていることによる義務”がどこまで及ぶのか具体的に検討した上で、入居者の責任の範囲内であるならば、大家さんあるいは管理会社さんは毅然とした対応をとるべきです。

島村:大家さんは管理者としての責任範囲を明確にしておくことで、健全な賃貸経営を営むことができるようになると思っています。

正田:おっしゃるとおりです。さらに円滑な対応策として、猫が入ってきて糞尿をする環境を改善してほしいと入居者が希望するのであれば、大家さん側で改善策を検討し、それを実行する行動力も必要だと思います。

島村:そうですね。大家さんも当事者意識を強く持ち、入居者満足度の向上に努める必要がありますからね。

正田:その時に島村さんの経験が大きく役に立つのだと思います。

事例3 清掃作業中の音に関するクレーム

島村:以前、建物全体に堆積した汚れを高圧洗浄機で落とす作業をしていた際に、入居者からすごい剣幕で「音がうるさいから機械をすぐに止めろ」というクレームが入ったことがあります。作業をしていた弊社の社員は大家さんの利害に関係することなので、作業を中止したいと私に連絡してきました。でも、私は作業を続けるように指示したんです。なぜなら、ここでクレームがあったから作業を中止したという前例をつくってはいけないと考えたからです。

正田:作業時間は当然昼間ですよね?

島村:もちろんです。13:00〜14:00の1時間だけでした。

正田:それであれば、その判断は正しいと思います。

島村:他にも、騒音のクレームはいろいろとあって、アパートの共用部分での掃き掃除で塵取りの音がうるさいという居住者からのクレームや、階段を上り下りする作業員の足音がうるさい、などといったクレームを受けたこともあります。

正田:一般的に考えて、集合住宅で生活する者同士、社会生活上やむを得ないものとして一定程度は受忍すべきとされていますが、この受忍限度を超えるかどうかが問題になります。そのため、クレームのあった相手との間で、各自治体が条例で定める騒音基準などと照らし合わせてみて、その音が受忍限度を超えるかどうかを検討することになります。しかし、塵取りの音や足音でのクレームとは、とても神経質な入居者さんだったのでしょうね(苦笑)。

島村:そういう入居者に対しては、基準値を超えるか否か、という問題以前に、“共同の利益”という考え方について説明していくしかありません。

正田:そのとおりだと思います。人が生活している以上大なり小なりいろいろなトラブルは発生すると考えるしかありませんので、そのためにも確固たる信念と毅然とした態度をとれるようにならないと、大家業が苦痛になってしまう大家さんもでてきてしまうのでしょうね。

島村:でも、実はうれしいこともあって、入居者からクレームがあった物件の大家さんから、だんだん大家業に消極的な気持ちになってきていたが、弊社の管理代行の業務を行う姿勢を見て、大家さんとしての、つまり管理者としての意識が強くなり、再びやる気がわいてきたと聞いたこともあります(笑)。

正田:それはうれしい言葉ですね(笑)。弁護士である私からいえることは、これからの時代の大家さんは、確固たる信念を持つと同時に、トラブルが発生したときに法律的にどのように判断されているのか、すぐに相談できる体制を整えておくことが重要だと思います。

島村:確かにそのとおりですね。

事例4 放置された自転車の処分

島村:アパートの部屋の数より、自転車の数が大幅に多い集合住宅の駐輪場で、入居者から「自転車が置きづらい」と連絡が入ったことがあります。そこで私は、まず大家さんに、「入居者に自転車の所有者確認をして使いやすくしよう」と提案をしました。自転車1台1台に使用者を確認するタグをつけて、使ったらタグを外してもらうというもので、入居者それぞれのポストにその旨を通知しました。

正田:自転車を放置している人には、駐輪場に掲示をしたり、入居者に個別に告知するという手続きを踏んでいくことが大切ですからね。

島村:その結果、何台かの放置自転車が出てきました。最終的に、確認作業をしても返事がなく、所有者のわからない放置自転車に対しては、所有権の放棄という判断をして、処分に踏み切りました。実際、2件ほどクレームが来ましたが、この場合その入居者に対しては、駐輪場を使用する入居者の“共同の利益”を守る大家さんに協力する“大家さんの管理業務への協力義務”の観点をもって、説得に成功しました。この協力義務も、“善良な管理者としての義務”の中に含まれるものだと考えています。

正田:この件に関しては気をつけなくてはならないこともありますよ。

島村:それはどういうことですか?

正田:放置自転車が敷地外の公道であった場合には役所の管轄となるので、放置自転車として役所が処分を行うことができますが、敷地内の場合は勝手に処分してしまうと問題になると考えてください。

島村:現状の法律では、敷地内に放置された自転車を処分することに大きなリスクがあることは理解しています。でも実際に迷惑を被っている入居者の方もいて、それはつまり大家さんにも波及する問題だと思うのですが、大家さんを守るための何かよい方法はありますか?

正田:無許可でそこに放置されたのであれば、駐車料金相当の損害が日々発生することになりますので、その自転車について権利を主張する人がいれば、その損害の賠償を請求することもできます。もし自転車を処分してしまった場合でその賠償を請求された場合は、こちらに生じていた損害と相殺するということになります。
しかし、実際に問題が起こってからだと手続が面倒なこともありますので、そもそも駐輪可能な台数や駐車自転車の登録などのルールを、問題が起こっていない段階で決めておくことが大切です。

島村:なるほど。駐輪ルールを明文化しておくとよいわけですね。また、駐輪場の有料化や許可申請制度を整えておくことも重要だと感じました。

正田:“強気の入居者、弱腰の大家“という構図を変えるためにも、大家さんにはもっと戦う術や知識を持っていただく必要があると思います。ルミナスさんには引き続き、大家さんの意識改革を含め、前向きで健全な賃貸経営をしてくためのバックアップをしていってほしいですね。

島村:今後も、弊社のお客様の困りごとをご相談できればありがたく思います。今日はありがとうございました。

正田:こちらこそありがとうございました。

まとめ

賃貸物件の清掃管理を行う中で見つけた、“共同の利益”、および入居者の権利とそれに伴う“善良な管理者としての義務”という考え方について、これまで実際に現場で起こったことを事例に出しながら正田弁護士に法律的な見地から問題の解決策を教えていただきました。私たちはこれまで通り、この考え方を清掃管理の基軸に置き、さらに勉強し、大家さんが大家業を苦痛だと思うのではなく、確固たる信念を持って経営することができるよう、幅広くサポートしていきたいと思います。

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